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a)実船実験の概要
第1回実験
往航:天気;雪、海象:波高約3m、被験者は入港直前に嘔吐
乗客の多くは帰省者、嘔吐者はなかった模様
アンケート調査票回収率:104/150
復航:天気;晴れ、海象:波高50cm以下、穏やかな航海であった、被験者嘔吐せず
アンケート調査票回収率:133/150
第2回実験
往航:天気;雪、海象1波高2.5−3.0m、向波、縦揺れが主、嘔吐者あった模様
被験者も嘔吐
アンケート調査票回収率:83/250
復航:天気:晴れ、海象:波高50cm以下、穏やかであった、嘔吐者なし
アンケート調査票回収率:112/250
第3回実験
往航:天気;晴れ、海象:波高50cm、被験者嘔吐せず
アンケート調査票回収率:107
復航:天気:晴れ、海象:波高70−90cm、嘔吐者なし
アンケート調査票回収率:100
第4回実験
往航:天気;晴れ、海象:波高0.5m、穏やか、嘔吐者はなかった模様
アンケート調査票回収率:1工9/145
復航:天気:雨、海象:波高1.5−2.0m、船酔い者はあった
アンケート調査票回収率:59/66
b)船体応答および生理的変化の計測・解析
隠岐航路における実船実験においては、第1回目および第2回目の実験においては、海象条件も適度に荒れた状態であったため、また、計測用に隠岐汽船側で確保していただいた船室も最前部であったため、船体動揺模擬装置では得られない大振幅の上下揺れ加速度刺激が被験者に加えられた。被験者だけではなく、一般乗客の中にも酔いを発症し、嘔吐者はあったが、人数の確認はできなかった。
一方、第3回の実験においては、1月であったにも拘わらず、海象は穏やかで、船体動揺も船酔いを起こすほどの大きさ、激しさはなかった。被験者も、一般乗客にも嘔吐した者はいなかった。
第4回目の実験は第3回の実験とほぼ同じ状況であった。
図2.3.2−4に第1回目実験時の計測結果を示す。往航では、荒れた海象であったため、船体の上下加速度有義振幅が0.18g程度となるかなり厳しい実験状態であった。しかし、この激しい船体動揺にも拘わらず、被験者の脳波および心電図R−R間隔から求めた心拍数には船体動揺刺激の影響が現れているようには見えない。むしろ、体動や、読書、会話といった日常的な所作の影響の方が大きく現れている。ただし、西郷入港前の嘔吐時にはα波のパワーが大きくなり、心拍数も急上昇している。
一方、復航では、海象が穏やかであったため、船体動揺の影響は殆どない状態である。この場合にも、日常的な所作の影響が脳波の平均パワーの時間的変化に大きく現れている。
第2回実験目実験の計測結果を図2−3.2.5に示す。往航については第1回目実験の往航時とほぼ同様

 

 

 

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